新任医師自己紹介 耳鼻咽喉科外来 松根彰志先生
日本医科大学武蔵小杉病院 耳鼻咽喉科の松根彰志教授が2025年1月より大森赤十字病院の耳鼻咽喉科の外来診療を開始されました(毎週金曜日午前)。それに伴い、自己紹介と当院における今後の耳鼻咽喉科の診療展開について書いていただきました。
≪自己紹介≫
私はこれまで広く耳鼻咽喉科一般の手術、診療に携わって来ましたが、主な研究と診療の分野は鼻科学、特に花粉症・アレルギー性鼻炎、(難治性)副鼻腔炎の診断と手術等治療です。
以下の如くのこれまでの実績に基づき、これからも仲間の医師とともに大森赤十字病院・耳鼻咽喉科でチャレンジングに展開してまいります。
1990年代、米国から帰国後は、鹿児島大学の助手、講師として、①鼻副鼻腔炎に対する手術治療の分野で、これまでの歯齦部切開による鼻外手術(Caldwell-Luc)から内視鏡下鼻内副鼻腔手術への学内における100%転換を主導しました。さらに副鼻腔炎に対するマクロライド療法の導入と普及、作用機序の研究や、当時ヤミックカテーテルと呼ばれていた副鼻腔炎治療用カテーテルのわが国における保険診療化にも携わりました。
2000年代には、鹿児島大学の助教授、准教授として、当時、難治性副鼻腔炎として注目されるようになった好酸球性副鼻腔炎の病態、治療研究を文科省・科学研究費の継続獲得により実施することができ、副鼻腔炎病態把握に重要なバイオマーカーである増殖因子などの新知見の報告を多数行いました。
2010年代には、日本医科大学に移り、年間200例以上の鼻副鼻腔炎手術を行いながら、治療や病態の研究を続けてきました。この間、新しい治療分野である、抗体治療薬(生物学的製剤、バイオ製剤)の好酸球性副鼻腔炎への適応獲得のための、わが国におけるほぼすべての臨床試験に参加しました。好酸球性副鼻腔炎病態における腸内フローラ(特にカビ)関与についての次世代シークエンサーを用いた検討や、手術後の鼻内充填新規材料の工学系との共同開発を、公的研究資金(AMEDなど)の獲得により現在進めています。
≪大森赤十字病院・耳鼻咽喉科のリニューアルと今後の診療展開≫
今後ともマクロライド療法、バイオ製剤、副鼻腔炎治療用カテーテル&穿刺洗浄、内視鏡下鼻内手術のベストミックスにより副鼻腔炎治療の最高峰をめざします。花粉症やアレルギー性鼻炎の治療につきましても、これまでの加齢性鼻漏、局所アレルギー性鼻炎(Local Allergic Rhinitis)の鑑別の重要性を先駆的に提唱してきた実績があり、従来からの薬物治療に加え、バイオ製剤、舌下免疫療法、手術をデータに基づき合理的に組み合わせて結果を出す治療を行います。
最後に、社会貢献の1つとして2013年以来取り組んでいる、NPO・鼻副鼻腔炎治療推進会の啓発活動も、webサイト(https://hanamizu.jp)よりYouTubeとともにご覧いただけたらと思います。
▼プロフィール
松根彰志(まつね しょうじ)
生年月日 1959年10月8日(大阪府大阪市中央区出身)
1975年 | 大阪教育大学附属平野中学校 卒業 |
1978年 | ラサール高等学校 卒業 |
1984年 | 鹿児島大学医学部医学科 卒業 大学院生として、鹿児島大学 耳鼻咽喉科学教室に入局 |
1988年 | 鹿児島大学大学院 医学研究科 博士課程 修了 |
1988年10月―1990年12月 | 米国ペンシルバニア州 ピッツバーグ大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頚部外科 リサーチフェロー |
1991年―1993年 | 国立療養所 星塚敬愛園 耳鼻咽喉科科長 |
1993年―1995年 | 鹿児島大学 歯学部歯科放射線科 助手 |
1995年―1998年 | 鹿児島大学 医学部 耳鼻咽喉科 助手 |
1998年―2000年 | 同 講師 |
2000年―2007年 | 同 助教授 |
2007年―2011年 | 鹿児島大学大学院・医歯学総合研究科 准教授 |
2011年―2025年 | 日本医科大学武蔵小杉病院 耳鼻咽喉科部長 |
2015年―2025年 | 日本医科大学 医学部 耳鼻咽喉科学 教授 |
▼学位、専門医
- 医学博士(1988年 鹿児島大学)
- 日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会 専門医・指導医
- 日本アレルギー学会 専門医・指導医
- 日本気管食道科学会 専門医
- 日本鼻科学会 手術指導医(暫定)
▼主な学会所属等
- 東京都 指定難病審査会 耳鼻印咽喉科担当
- 神奈川県 指定難病審査会 耳鼻咽喉科担当
- 川崎市 指定難病審査会 耳鼻咽喉科担当
- 日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会 代議員、利益相反員会・委員長
- 神奈川県地方部会 常任理事・調査委員会・委員長
- 川崎市耳鼻咽喉科医会 学術担当・副会長
- 日本アレルギー学会 代議員、専門医試験作成委員会・副委員長
- 日本鼻科学会 常任理事
- 日本医科大学武蔵小杉病院 病院研究員会・委員長
- 第20回 マクロライド新作用研究会 2013年 会長
- 第58回 日本鼻科学会総会・学術講演会 2019年 事務局長 会長代行
- 神奈川気道炎症病態研究会 代表幹事 (2011年―2024年)
- NPO 花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会 副理事長、事務局長 (2013年―現在)