赤十字国際救援事業での活動

トピック

当院には赤十字の国際救援事業に参加し活躍する職員も在籍しています。

今回は、2022年4月に国際救援開発要員として派遣され、タイでの活動を終えて帰国した木村看護師の活動についてご紹介させていただきます。


日本赤十字社(以下、日赤)では、世界中の保健医療支援を必要とする地域に、多くの医師や看護師などを派遣しています。2022年4月から2023年10月まで、私は国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)バンコク事務所に保健要員として出向していました。

IFRCは、日赤を含む世界191の赤十字社と赤新月社が加盟し、世界60カ所以上に事務所を置いている人道支援団体です。

私は、タイ・バンコク事務所にて、タイの他にメコン川に接するラオス、カンボジア、ベトナムを含む4カ国での保健衛生事業に携わっていました。各国の保健衛生活動を支援するために事業計画を立案し、現地での支援状況をモニタリングしたり、急な災害発生に対応できる現地の組織作りをしたり、マレーシアにあるIFRCアジア大洋州事務所やスイスのジュネーブにあるIFRC事務局、またさまざまな機関との調整などを行っていました。

カンボジア赤本社および県支部とのHIV事業のフィールド会議
カンボジア赤本社および県支部との
HIV事業のフィールド会議
ラオス国境付近のクリニックでのHIV事業フィールド調査
ラオス国境付近のクリニックでの
HIV事業フィールド調査

メコン圏は、医療アクセスが難しい地域がほとんどですが、保健医療に携わる人材不足や交通事故の多発、台風や洪水などの自然災害の多発、熱帯圏特有の感染症や疾病の蔓延、医療アクセスの乏しさ、など幾つもの課題があり医療サービスへのアクセスや一次予防の向上などのニーズがありました。このようなニーズに対応するため、各国赤十字社は災害対応と心理社会的支援・救急法の普及・感染症予防の啓発活動を、各国の政治的な事情や宗教・文化など、あらゆるバックグラウンドを考慮しながら事業展開していました。

救急法の普及一つにしても、各国それぞれ色が異なるアプローチであり、例えばタイでは仏教寺院において救急法講習を実施、ベトナムでは交通事故の多い地区に「モバイル救護室」として赤十字ボランティアが交代で運営する仮設救護室を展開、カンボジアでは学校カリキュラムに救急法を導入したりホテル従業員に救急法講習を実施、ラオスでは医療アクセスが困難な地域において住民同士で命を守れるようリーダーシップをとれる救急法指導員養成の強化をしていました。

ラオス赤本社による支部主催の救急法講習のモニタリング
ラオス赤本社による支部主催の救急法講習のモニタリング

タイには赤十字病院などの医療施設があるため、比較的円滑に保健支援活動ができる一方、他の3カ国には赤十字が直接運営している医療施設がなく、またベトナムやラオスは社会主義国家であるため、政府とのより緊密な調整を求められることがありました。

ラオス赤主催のHIV・心理社会的支援研修でのグループワーク
ラオス赤主催のHIV・心理社会的
支援研修でのグループワーク
カンボジア赤本社および県支部によるHIV事業対象地区の村長らとの会議
カンボジア赤本社および県支部による
HIV事業対象地区の村長らとの会議

IFRCの保健要員として支援をする立場でありながらも、一人でも多くの人を救うための活動に励んでいる現地赤十字社のスタッフやボランティアから学ぶことは多く、特に難題であった「多民族国家・多文化社会として知られるメコン川流域の移民や民族を取り巻く状況」に関しては、実際にその地を訪れ、現地の人々からの話を聴くことで、真の課題やニーズを共に深く考えることにやりがいを感じました。

ラオス赤本社主催の救急法指導員講習の開催(タイ赤とのコラボレーション)
ラオス赤本社主催の救急法指導員講習の開催(タイ赤とのコラボレーション)

看護師 木村仁美

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