チャンスを逃さないで ~消化管のがんは早期発見・早期治療を~

トピック

がん検診を受けていますか?受けっぱなしではありませんか?

日本人は、いまや男女ともに一生のうちに約2人に1人はがんにかかるといわれています。
そのためがんにならないように対策すると同時に、がんになったときにいかに早く対応できるか、これも重要だと思います。

現在、がん検診は、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がんなどが行われています。
胃がん検診はこれまではバリウムによるものが主流でしたが、最近では胃カメラによる検診が進んできています。

一方で大腸がんについては便潜血検査が簡単な検査方法として広まり、検査陽性であれば大腸カメラが勧められます。
しかし実際に陽性であっても全国で60-70%の方しか実際に大腸カメラ検査をやっていないとも報告されています。

これは、がんの前段階のポリープなどを治療するチャンスを逃している可能性もあり、ぜひ検査が陽性であった方は一歩勇気を出して検査を受けていただければと思います。

昨今の新型コロナ感染症の流行により内視鏡検査による感染が心配されていますが、検査を受ける人、検査をする人、周囲のスタッフがきちんとした感染防護をとることによってこれまでと同様に検査や治療を受けることができます(図1)。

消化管の早期がんには内視鏡治療(ESD)が有効です

ESDは一言でいえば“お腹を切らずにがんを切除する内視鏡治療”です。

これまではがんの内視鏡治療といえばサイズの小さい腫瘍が対象でしたが、たくさんのデータ解析、そして内視鏡技術の進歩によって、その対象となる腫瘍の範囲が広がり、転移の可能性がない初期のがんは、ESDであればかなり大きな腫瘍までお腹をまったく傷めずに摘出することができるようになりました。

しかし、この恩恵を受けることができるのはがんが早期で発見できていることが大前提です。
早期がんは、症状はまずありません。

ぜひ、手元にあるがん検診を改めて見直してみてください!

図1 内視鏡治療中は、きちんとした感染防護をしながら処置をしています。

診察風景

消化器内科部長 千葉 秀幸

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