胆嚢(たんのう)の病気 ~まずは気軽にエコー検査から~

トピック

胆嚢(たんのう)の役割

胆嚢は肝臓と十二指腸をつなぐ管(胆管)の途中にあり、西洋梨のような形をした袋のような臓器です。肝臓でつくられた胆汁は胆嚢に貯まり濃縮されます。

食事をするとその刺激で胆嚢が収縮し、貯められた胆汁は胆管を通って十二指腸に流れ出し、脂肪の消化酵素であるリパーゼの働きを助けます。

胆石症にともなう腫瘍に注意

近年、超音波検査の普及により胆嚢病変が発見される機会が増えました。
胆石症は代表的な良性の病変で、症状がなければ経過観察で問題はありません。

しかし、胆嚢がんの69~96%に胆石があり、胆石があると胆嚢がんのリスクが6倍になるとの報告があります。

胆石(胆嚢結石症)が胆嚢がんの危険因子であるかは明らかではありませんが、経過観察においてはがんの合併に注意する必要があります。

胆嚢の良性隆起性病変

胆嚢にはシコリのように隆起する良性病変ができることがあり、胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋腫症、黄色肉芽腫性胆嚢炎、慢性胆嚢炎などがあります。

サイズが小さいものはほとんどが良性であり経過観察で問題ありません。大きさが10mmを超えるものや、形が不整(広基性)なものはがんとの鑑別が問題となります。

胆嚢がん

胆嚢がんのリスク因子としては、胆嚢結石、胆嚢腺筋腫症、肥満、喫煙、飲酒、香辛料、重金属、膵・胆管合流異常症などが報告されています。

なかでも膵・胆管合流異常症(胆管拡張を伴わない)は37.4%と高率に胆嚢がんが合併するため、症例によっては予防的胆嚢摘出術を考慮する必要があります。胆嚢がんのなかには良性疾患と類似の画像所見を呈するものもあり、術後の病理検査で初めて癌の存在が判明することがあります。

このような偶発胆嚢癌は腹腔鏡下胆嚢摘出術の進歩により近年増加しており、胆嚢摘出術症例の1%前後にみられると報告されています。

胆のうがんとなる一歩手前の段階での手術

胆嚢は胃や大腸のように直接病変を内視鏡で観察し組織を採取することができない臓器です。
また隆起性病変に微小ながんが潜んでいないかを画像検査で判断することは非常に困難です。

実際の臨床現場では超音波検査をはじめとした複数の検査所見から総合的に判断し、がん化する可能性が否定できない場合は予防的に胆嚢摘出手術を検討することがあります。患者さんの全身状態より手術を見送る場合でも厳重な経過観察が必要です。胆嚢の壁は薄い構造のため、がんは容易に周囲に進行します。

そのため画像検査で悪性所見が明らかになってからの手術では既にがんが周囲に広がり手遅れになっていることがあり、悪性となる一歩前の段階で手術をすることが大切です。

まずは気軽にエコー検査をしてみましょう

胆嚢の検査としては腹部超音波検査(エコー)、ダイナミックCT、MRI、超音波内視鏡検査などがあります。

このなかでエコーは画像解像度に優れており、また身体に負担なく気軽に施行できる点でますはじめに行うことをおすすめします。当院の人間ドックでは胃がん検診といっしょに腹部エコーも同時に受けられます。もし胆嚢に病変が見つかれば、その後の精密検査を消化器内科専門医とご相談下さい。 

症例

65歳男性、10mm未満の胆嚢浸潤がん

検診の腹部エコー検査で胆嚢内に8mm大のポリープ様病変が発見された。超音波内視鏡検査では広基性の形態を呈しており、がん化が否定できないため胆嚢摘出手術の方針となった。

腹部超音波検査;胆嚢内に8mm大の隆起性病変を複数認めた。

超音波内視鏡検査;胆嚢壁の構造は保たれているが、広基性の隆起性病変を認めた。

手術切除標本;胆嚢内の結節様隆起はがんであり、周囲の胆嚢壁に粘膜内進展を来していた。
一部で癌は固有筋層まで浸潤していた。10mm未満の隆起性病変でも形が広基性であるとがんを疑う必要があります。

消化器内科部長 井田 智則

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