CTとMRIはどちらがすぐれていますか。
「CTとMRIはどちらが優れていますか?」と、患者さんと話していて聞かれることがあります。結論を先に述べれば、「どちらでもない」です。
CTとMRIは画像の原理から違う全く別の検査なので、AかBかとか、甲か乙かとか比べるものでもないとでもいえるでしょうか。CTはX線を使って、MRIは核磁気共鳴という現象を使って画像にします。
それぞれ特徴や得意なものがありますので、そのことを少しのべてみたいと思います。
まず、撮影時間が大きく違います。CTは数十秒ですが、MRIは20~30分かかります。そのため具合の悪い患者さんに対してはCTがよいということになります。従って、脳卒中や大動脈解離などの救急疾患ではCTが選ばれることが多くなります。
またCTでは全身を1度に観察することなどもできますが、MRIでは広い範囲を1度に撮影することはできません。
次に空間分解能といいますが、小さな部分を見分ける力では、CTの方が優れています。組織分解能といって、臓器の様子の違いを見分ける力ではMRIの方が優れています。見たい病気がどこにできて、どんな性質のものかで使い分けることになります。
たとえば骨はCTでは観察できますが、MRIでは骨そのものを見ることができません。骨折した骨を見るならCTですが、折れてはいないが骨が痛んだ骨髄の浮腫を見るならMRIとなります。骨折疑いといってもどちらで検査をするかは、病気の状態、主治医の評価したいものがなにかによります。
病気の診断は患者さんの症状、採血データ、経過などを見ながら総合的に決めていくものですので、CTやMRIといった画像検査は一度やっておけば安心というものではありません。また機器の進歩も早いので使いこなしていくには医師の努力も必要で、そのお手伝いを放射線科医師が担っています。
つきなみですが、信頼できるかかりつけ医や主治医を持って診察を受け、よく相談しながら検査を進めていくのが大切ということになります。