脳卒中と闘うということ

トピック

脳卒中とは

「脳卒中」って、よく聞く言葉だと思いますが、実は病名ではなくて、脳の血管が原因で突然発症する病気の総称です。専門用語を使うと、「脳血管障害」の一部になりますが、①脳出血、②脳梗塞、③くも膜下出血をまとめて表すことが多いと思います。昔は、「中気」と呼ばれており、悪い“気”に“中る(あたる)”という意味があるようです。以前地方の病院で、高齢の方の問診で初めて耳にしたのを覚えています。

チームで脳卒中に挑む

脳卒中の診療にあたっては、医師のみならず、看護師、薬剤師、放射線技師やリハビリスタッフなどによるチーム医療が非常に重要です。なぜなら、多くの脳卒中は緊急での処置を要することが多く、限られた時間の中で、診断から治療までスムーズかつ適切に行っていくことで、初めて良い結果に辿り着くことができるからです。

特に、脳の血管が詰まってしまうことで発症する「脳梗塞」に関しては、発症から治療まで早く辿り着くことができれば、血管の詰まりの原因となっている血栓を溶かすための特効薬(tPAと呼ばれます)の投与や、血栓を直接取り除くためのカテーテル治療など、治療のオプションが増えて、症状の改善が得られる可能性が高くなります。

当院では、こうした治療を数多く行ってきており、その経験を活かして、日々チーム力を上げる努力を続けるとともに、いつ患者さんが搬送されても対応できるように、24時間365日、脳卒中の診療が行える医師が常駐しています。

  • 左2枚(モバイル表示では上2枚):本来は矢印で示した部分にも血管が写るはずですが、この画像では血管が詰まっているため写っていません。
  • 一番右(モバイル表示では一番下):治療後、血管の詰まりが解消された状態です。

「もしかして脳卒中かも」と思ったら

一方で、我々の力だけではどうにもできない部分もあります。それは、脳卒中を発症してから病院に搬送されるまでの時間です。皆様の大切な方、あるいは身近な方、全く知らない人かもしれないけど、目の前で倒れてしまった方を救える可能性があるのは、皆様自身です。そんな時に、是非役立てて頂きたいのが、「FAST」と呼ばれる方法です。

「FAST」と呼ばれる方法

誰でも簡単に脳卒中を疑うことができる優れものです。「顔、腕、言葉、の3つの項目を見て、おかしければ脳卒中を疑って救急車を呼びましょう」というものです。簡単な検査ですので、是非ご活用いただき、様子を見るのでなくて、すぐに救急車を呼んで、1秒でも早く患者さんを病院へ搬送してもらえるようにご協力ください。

脳卒中を予防する

我々のもう一つの大きな使命は、脳卒中を予防することにあります。

幸いなことに、日本には人間ドックや脳ドックという素晴らしい仕組みがあります。これにより、脳卒中を起こす前に病気を見つけることができれば、薬の内服のみならず、場合によっては手術を行うことにより、大きな後遺症を残す可能性のある脳卒中を防ぐことが可能になります。当院では、このような予防的な手術に関しても、ご本人やご家族と相談しながら積極的に行っております。ご家族の中で、脳卒中になられた方が多い方や、生活習慣病の治療を受けていらっしゃる方など、ご不安をお持ちの方がいらっしゃいましたら、遠慮なくご相談ください。

救急科部長 兼 脳神経外科副部長 荒川秀樹

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