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がん予防に検診を活用してみませんか(シリーズ4/6)「4. がんの過剰診療とは」

がん細胞
トピック

日本で生涯に何らかのがんに罹患する人の割合は、今や2人に1人となっていると推計されています。がんは加齢に伴って発症しやすくなる、細胞の老化現象の一つとも言われていますが、生活習慣病としての側面も持っています。老化現象としてとらえると、がんにならない予防法は無いと言えますが、生活習慣病の一つと考えると、多少なりとも発症を押さえられる可能性がある、と考えることもできます。

そこで、がん予防検診について6回にわけて解説しています。今回は第4回を届けします。

4. がんの過剰診療とは

がんではないものを『がん』と診断したのを過剰診療といっているのではありません。

がんは、人体の細胞の異常変異が原因でおこるもので、それが元の細胞よりはるかに速い速度で分裂増殖し、正常細胞や組織を侵食し、ついには生命予後を縮めるものです。がんの種類やかかった人によって進行速度は違いますが、がん細胞ができてから、検査でみつかるほどになるまでには数年以上かかります。そこから症状が出るまで数年、その後何もしなくても数年の生存が見込まれます。

人間ですから、がんに罹っているいないに関わらず、肺炎や脳梗塞などの他の病気でなくなることもありますし、当然老衰などの加齢による寿命もあります。がんが検診で発見されたり、がんと診断がつく年齢と、検診もせずになくなる年齢を考慮して、検診を行うかどうかを考える必要があります。

検診ではそれを決めるのは受診者さまの自己判断となります。下の図では、がん細胞が増殖する様子を単純な模式図で示しました。本来の癌細胞の数は、もっと急激に増加しますが、わかりやすくするためのグラフなのでご理解ください。赤で示しているのが、がんが増えている様子です。がん患者の代表的な例を挙げましたが、

  1. 途中自分の免疫の力で癌細胞がなくなる場合
  2. がん細胞出現から徐々に増えて、かかった方が亡くなるまでの様子
  3. 検診で発見できるほどになるまで増殖した時に見つかって治療され完治した場合
  4. 症状が出てから受診、検査、治療を開始して完治した場合
  5. 症状が出てから時間が経ってから治療を開始、再発、死亡までの様子

をお示ししました。

その方の寿命がaのように、がんの自然経過で亡くなるよりも長い場合は、早期診断、早期治療に意味がありますが、cのような、がんと診断されてもされなくとも生命予後に変わりがない方にとっては、診断・治療の意義は低いと考えます。実際には、その方の寿命はわからないので、平均寿命や平均余命、患者さまの活動能力、他に罹患している疾患などを総合的に判断して、検診・精密検査・治療の是非を検討します。

明らかに残りの人生が短いcのような方に、検診や検査・治療を行うことが過剰診療といわれます。

―続く―

健診部長 神原かおり

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