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子供たちと大森日赤フェスタの院内演奏会 ~音楽アウトリーチの在り方~

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音楽の「アウトリーチ」とは、演奏会に行けない人たちに、演奏家が自ら音楽を届ける活動を指します。先日、当院の院内演奏会を企画してくださっている三木隆二郎さんが、アウトリーチについてのシンポジウムを開催されましたので、私も参加してきました。演奏家が積極的にこの活動に関わり、多くの人々がその意義を理解し、サポートしていることに感銘を受けました。

当院で開催している院内演奏会もアウトリーチ活動の一環で、入院中で外出できない患者さんに音楽を届けることが目的です。年に3回の演奏会はこれまでに32回行われ、三木さんのご厚意により、一流のプロの演奏家による素晴らしい演奏が披露されています。さらに、プロとアマチュアの有志が協力して、通常では難しい小編成のオーケストラによる演奏も行われており、音楽の力が患者さんや職員の癒しに大きく貢献しています。

前回は新しい試みとして、「大森日赤フェスタ」の午後の部で講堂にて弦楽合奏団による演奏会を開きました。これにより、普段より多くの一般の方々に音楽を楽しんでいただくことができました。特に驚いたのは、たくさんの子供たちが聴きに来てくれたことと、その反応です。

トリトン・チェンバー・アンサンブルのバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスなどの生演奏を文字通り目の前で聴くことの迫力は、講堂の響きの良さも相まって、予想以上に素晴らしいものでした。子供たちは、私の懸念とは異なり、騒ぐこともなく、また我慢してじっと退屈そうに座っているわけでもありませんでした。

子供達は講堂からもれてくる音楽に驚いた表情で入場し、目を輝かせながら生演奏を観察し、思い思いにしばらく音楽を楽しんだ後、自然に退席してフェスタの他の催し物のエリアに戻るという形で、入れ代わり立ち代わり音楽に触れていました。計画していたわけでは全くないのですが、コンサートホールに閉じ込めることなく、子供達に気分のおもむくままに、自由に一流のクラシック音楽の生演奏に触れてもらう場を提供することになりました。「まだクラシックの演奏会に連れて行けない(連れていきにくい)年齢の子供たちが、ここで生のクラシック音楽に触れている。どうやって楽器が実際に演奏され、どんな音がしているのか体験している」という光景に感動し、これもまた音楽のアウトリーチの一つの形だと感じました(ちなみに、フェスタで子供達に1番人気の企画は、栄養科の「人工ジュース作りを体験しよう!」でした)。

子供たちと大森日赤フェスタの院内演奏会

日本におけるクラシック音楽の人気衰退が危惧されており、関連雑誌もつぎつぎと廃刊されていきました。ヨーロッパに旅行すると街角で、教会で、いくらでも子供達がクラシック音楽に触れているのを目にしますが、日本はどうでしょうか。

今後も年に3回の演奏会を行い、患者さんの癒しを重視したものを中心としつつ、患者さんばかりでなく幅広い聴衆に向けたものをミックスして開催していければと考えています。

院長 橋口陽二郎

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