救急外来から帰宅。その後が大事!
救急車で病院に運ばれ、診察や検査を受けた結果、入院せずに帰宅することがあります。
「入院しなくてよかった。これでもう大丈夫!」
そう思われるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。救急外来から帰宅できたことは、「病気が治った」「もう悪くならない」という意味ではありません。
日本の救命救急センターで、救急外来から帰宅した13,831例を調べた研究があります(*引用文献)。その結果、約1.7%、およそ60人に1人が7日以内に再び救急外来を受診し、入院・転院・死亡に至っていました。 80歳を超える患者さんでは約5%、実に20人に1人です。
では、どんな病気に注意が必要なのでしょうか。
再受診して入院などが必要になった患者さんでは、感染症が約42%と最も多く、外傷、消化器疾患、循環器疾患、神経疾患などが続きました。約半数は最初に診断された病気がその後悪化したケースでしたが、約3割では、再受診したときに最初とは違う診断になっていました。
これは、救急医療の難しいところでもあります。
救急外来では、診察に加えて、必要に応じて血液検査やCTなどを行い、その時点でできる限りの判断をします。しかし、病気の中には時間がたってから症状や検査の異常がはっきりしてくるものがあります。最初の診察では軽症に見えても、数時間後、翌日になって様子が変わることもあるのです。
そして、ここが一番大切なところです。
病院にいる間は、医師や看護師が患者さんの変化をみています。では、家に帰ったあとは?
患者さんご本人や、ご家族がみることになります。
ですから、帰宅後に「さっきより具合が悪い」「何かおかしい」と感じたら、「一度病院で診てもらったから大丈夫」と我慢しないでください。症状が悪化した場合には、もう一度医療機関に相談することが大切です。
特に、救急外来で医師から**「入院して経過をみましょう」**と勧められた場合には、その言葉には理由があります。今は比較的落ち着いていても、年齢や持病、症状、検査結果などから、これから状態が変化する可能性を考えているからです。
それでも、さまざまな事情から入院せず帰宅を希望される方もいらっしゃいます。当院ではそのような場合、帰宅後に病状が悪化する可能性などをご説明し、そのリスクをご理解いただいたことを確認したうえでお帰りいただいています。
救急外来から帰宅できたら、まずは一安心。
でも、そこで終わりではありません。その後が大事!
帰宅後はご自身やご家族で体調の変化をみて、「いつもと違う」「悪くなっている」と感じたら、ためらわずにもう一度ご相談ください。

引用文献
白戸康介,菅沼和樹,宮内直人・他:当院救急外来における予定外の再受診をした患者の高齢と不良な転帰との関係.日本救急医学会中部地方会誌 17:6-11,2021


