無痛分娩の歴史
トピック
来月(2024年1月)から、大森日赤の産科に無痛分娩のスペシャリストの先生をお迎えすることになっています。
詳細は今後お知らせするとして、今回は、それにちなんで、無痛分娩の歴史についてひも解いてみます。
人類の長い歴史の中で「お産とは痛いもの」として長く認識されてきました。医学が発達した今日でも、お産に伴う痛み、危険は女性にとっては大きな脅威であり続けています。「苦しんでいる人を救いたい」という赤十字の精神を全うすべく、当院は全力で無痛分娩に取り組んでいきます。
無痛分娩の歴史は、医学の進歩と技術の向上に伴うものです。
19世紀初頭: エーテルと笑気の使用
19世紀初頭、麻酔が初めて産科で使用されるようになりました。エーテルや笑気が麻酔として導入され、これにより分娩時の痛みを和らげる試みが行われました。しかし、当時の技術や知識の不足から、効果は一定ではありませんでした。
1847年: セメルワイスの手術室の消毒
ハンガリーの産科医イグナーツ・セメルワイスは、手術室での感染を防ぐために手の消毒を提唱しました。これにより分娩時の感染症の発生が減少し、産科医学の進歩が始まりました。
1885年: ウィルキンソンとリードの硬膜外麻酔
アメリカの医師フランシス・ウィルキンソンとリチャード・リードは、硬膜外麻酔の使用を提案し、これが分娩時の痛みの管理において新たな選択肢となりました。
20世紀初頭: 分娩麻酔の進化
20世紀初頭には、硬膜外麻酔の技術が改善され、より安全かつ確実な方法が確立されました。これにより、無痛分娩が普及し始めました。
1970年代以降: 分娩室での普及
1970年代以降、分娩室で分娩時の痛みを和らげるために利用されるようになりました。
現代: 個々のニーズに対応した麻酔管理
現代では、患者さんの個々のニーズに合わせた麻酔管理が可能となってきています。陣痛の進行に合わせて麻酔の追加を受けることができ、より快適な分娩経験が可能です。
- 無痛分娩は、分娩の痛みを抑えつつ、母親と赤ちゃんの安全を確保するための方法です。しかし、すべての状況に適しているわけではないため、医師との相談が必要です。
- また、病院によって無痛分娩の方法は異なります。よく説明を受けて、納得してから選択してください。