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緩和ケア病棟の上手な利用の仕方 〜その2 頓服を上手に使うことが症状緩和の近道〜

トピック

本年1月から緩和ケア病棟が始まっています。緩和ケア病棟は最期の時に入院するところ、自宅ですごしていてギリギリになってから入院するところというイメージがないでしょうか。確かに緩和ケア病棟では患者さんの最期の時を看取ることが重要な働きの一つです。しかし、それ以外にも緩和ケア病棟を上手に利用していただくことで患者さんがより良い時間を過ごせることがあります。そんな上手な利用法をこのブログでお伝えしていきたいと思っています。今回は緩和ケア病棟での症状緩和についてです。

がんは進行性の病気です。がんが進行するとは、がんがその場所で大きくなることでもありますし、血液やリンパの流れにのって体の様々な場所に転移し、転移した場所であらたな症状が出現することでもあります。

がんが進行することで起こってくる症状は痛みだけでなく、息苦しさ、吐き気、お腹の張り、体のだるさだけでなく、脳転移や背骨の転移による麻痺症状などさまざまです。がんの進行に伴う苦痛症状の特徴として、ある時急に今までになかった症状が起こること、すでにある症状がある時急に不安定になることがあります。

新たな症状が出現してその症状が短期間に強くなる時や今まであった症状が不安定になったときの症状緩和には頓服をいくつか用意し、その効果を見つつ投薬の調整を行うことで早期に症状を緩和することができます。しかし、在宅でこれをやろうとするときにネックとなるのが、患者さんにとっても介護しているご家族にとって頓用薬を適切なタイミングで使うのかは難しいと感じることです。

緩和ケア病棟の上手な利用の仕方② 挿絵

頓服はもらっていても、辛い症状をどの程度まで我慢するのかの判断は医療の専門家のアドバイスがないとなかなかうまくできません。また、一般的に頓服が出ていても患者さんもご家族も頓用薬の使用に躊躇してしまうことも多いです。いかに通院回数を増やしても、訪問回数を増やしても、頓服を使う適切なタイミングを図るのは難しいこともあるのではないでしょうか。

そのような時には緩和ケア病棟に入院して24時間医療者がそばにいる状況で、いつ、症状がどこまで強くなったら頓服を使うのか、そのような頓服を使うコツを患者・家族に体験していただくことで効果的に頓服を使用することができます。

また、頓服の効果を的確に判断して投薬の調整に繋げるためには専門知識を持った看護師がその効果を判定することも必要になりますこのような退院後も適切な頓用薬を使うことができるようになります。

このように緩和ケア病棟に入院して細やかな苦痛緩和の治療調整を速やかに行い、あらたな苦痛症状を落ち着かせることができましたら、また自宅での療養が穏やかに続けられるようになります。苦痛症状が不安定になったり、新たな苦痛症状が出てきた時にはぜひ迅速な症状緩和を行うためにも一時的な緩和ケア病棟への入院を検討してみてください。

緩和ケア内科部長 茅根義和

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