新任医師自己紹介 上部消化管外科部長 浦辺雅之
■2024年4月1日付着任
■資格
- 日本外科学会認定専門医・指導医
- 日本消化器外科学会認定専門医・消化器がん外科治療認定医
- 日本内視鏡外科学会認定技術認定医(胃)
- ロボット支援下手術資格(da Vinci/hinotori)
- 日本食道学会食道科認定医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
4月より外科部長を拝命した浦辺雅之です。上部消化管部門を担当します。
私は大学を卒業して初期臨床研修を終えた後、茅ヶ崎市立病院で外科医としてのキャリアをスタートしました。3年間の修練を経て専門として選んだのが、上部消化管、特に胃癌手術でした。
日本は世界で最も胃癌が多い国の一つです。胃癌治療におけるエビデンス(科学的な根拠)の多くが本邦から発信され、その手術においては、日本の外科医が築いてきた方法論(胃をどれだけ切ってどれだけ残すか、その周囲のリンパ節をどこまでとるか)が、国際的なスタンダードとなっています。その精緻さに魅せられ、上部消化管外科医の道に進み、以降は虎の門病院、東京大学医学部附属病院で研鑽を積んでまいりました。
私が外科医になった頃はまだ開腹手術が主流であった胃切除も、現在は腹腔鏡下手術で行うことが一般的となっています。腹腔鏡下手術では、腹部に小さな穴を複数あけて、その中をスコープで観察しながら胃切除および再建を完遂します。従来の開腹手術と比べて、腹腔鏡は痛みも少なく、また術後の回復も早くなります。直近の胃癌学会ガイドラインにも、早期癌(幽門側胃切除が可能なもの)については腹腔鏡下手術を行うことを「強く推奨」との文言が現れました。進行癌についても腹腔鏡下手術の有効性を支持する臨床試験の結果が相次ぎ、2023年の学会速報では胃進行癌の「標準治療の選択肢の一つとなり得る」とされています。当院においても、体の負担の少ない腹腔鏡下胃切除を積極的に行っていく方針です。
さらに、医療ロボットを用いた手術が2018年から胃癌においても保険適応となり、以降その件数は全国的に急峻な増加をみせています。ロボットには、自在な関節機能、正確な操作を実現する手振れ補正という強みがあり、腹腔鏡手術よりもさらに術後の合併症を減らす可能性が報告されています。本院も既に手術支援ロボット「ダ・ビンチ」を保有しており、ロボット支援下胃切除の早期導入も予定しております。
地域の医療に少しでも貢献できるよう、頑張っていきます。
胃癌に限らず、そのほかの胃疾患(間質腫瘍など)や食道疾患など、上部消化管にまつわることは気軽にご相談ください。