がん予防に検診を活用してみませんか(シリーズ5/6)「5.信頼できる情報の探し方」
日本で生涯に何らかのがんに罹患する人の割合は、今や2人に1人となっていると推計されています。がんは加齢に伴って発症しやすくなる、細胞の老化現象の一つとも言われていますが、生活習慣病としての側面も持っています。老化現象としてとらえると、がんにならない予防法は無いと言えますが、生活習慣病の一つと考えると、多少なりとも発症を押さえられる可能性がある、と考えることもできます。
そこで、がん予防検診について6回にわけて解説しています。今回は第5回を届けします。
5.信頼できる情報の探し方
『ガイドライン』は、充分な科学的根拠のある複数の研究をもとにして作成されています。エビデンスとは”科学的根拠”のことであり、ガイドラインにも、いくつかの予防法は記載されています。各疾患のガイドラインについては、その疾患の患者を診る学会のホームページから一般の方でも見ることができる場合があります。
膨大な研究結果から、ガイドラインでは、現時点で最も安全かつ効果的な治療法として、『標準治療』が示されています。日本中のがん治療医は、これを元に目の前の患者に当てはめて、治療法を選択していますので、結局、患者の治療法について一番信頼できる情報を持っているのは、その患者のがん主治医です。
がんになる前の予防法を考えた時、よい食べ物やサプリメントがないか、知りたいですよね。
国立健康・栄養研究所 からは、健康・栄養情報として、一般の方向けに、さまざまな情報が発信されています。サプリメントや栄養補助食品などの情報も満載で、とても参考になります。
がんの予防に有効な要因を調べるためには、まだそのがんにかかっていない多くの住人を長期間にわたって食事や運動、体格、職業などいくつもの要因を厳密に観察・コントロールしたうえで、数年~数十年後にそのがんにかかる率が高い集団を見つける、という途方もない労力と時間が必要な研究となり、実際そのような研究は少なく、有効と言えるエビデンスは多くありません。これまでに、抗酸化物質といわれるβ-カロテン、ビタミンE、ビタミンCなどでは、がんの予防効果はなく、高用量のβ-カロテンやビタミンEを摂取することで、逆に一部のがんや死亡リスクが上がることが知られています。
―続く―