奇跡の講堂と院内演奏会
ちょっと大げさになりますが、今回は、大森日赤の講堂の自慢をさせてください。
現在の大森赤十字病院の建物は2010年に作られました。ちょっと洒落たセンスの白い建物と自負しています。
大森日赤の講堂は、3つの機能を持っています。
- 病院の大きな会議や集会の会場。
- 災害支援などの訓練の会場
- 実際に災害が起こった場合の、救急車受入れ、患者さん診療の場(外壁が外に開いて救急車がつけるように作られていて、災害時の救急医療に備えた配管が施されている)
昨年行った救急外来拡張工事の際には、この講堂が、救急車受入れと救急室の代わりを3か月間果たしてくれました。
ところで、これらのような実践的な用途のほかに、当院の講堂にはもう一つの優れた特性があります。それは、天井が高くて広いせいか、「音楽を演奏した時の響きが素晴らしい」ことです。
毎年3回開催している当院の院内演奏会には、驚くほど高名なアーティスト達が快く出演してくださっています。もちろん、社会貢献の気持ちに支えられてのことなのですが、いつもお世話になっている三木隆二郎さん(大森室内楽愛好会代表)によると、出演者に恵まれている理由の一つに、当院の講堂が「音がよい」こともあるのだそうです。芸術家は、「自分の演奏がきれいに響くところで演奏したい」という本能があるのだそうです。
このように、当院の講堂は、救急医療で活躍したり、コンサートで活躍したりと、まさに、「奇跡の講堂」と呼びたいところです。
さて、天井の高い広い講堂で演奏会がより良い音を生み出す理由はいくつかあるようです。
- 残響(リバーブ)効果: 天井が高いと、音が広がるのに十分な空間ができます。これにより、演奏された音が壁や床などで反射し、複数の方向から聞こえてくることで残響が生まれます。この残響が音楽をより豊かで深みのあるものにし、演奏された音がより広がって感じられます。
- 音の拡散: 天井が高いと、音が広がりやすくなります。これにより、聴衆全体に音が均等に広がり、どの席からでもバランスのとれた音楽が楽しめます。音が直線的に伝わるよりも、空間に広がって聞こえるため、より臨場感が生まれます。
- 共鳴: 天井の高い空間では、特定の周波数が共鳴しやすくなります。楽器や歌声の特定の周波数が講堂の特定の高さにマッチすると、その音が強化され、より豊かで力強い響きが得られます。
- 視覚的な効果: 天井が高いと、視覚的な開放感が増します。これは聴衆にとっても重要で、心地よい環境が音楽をより楽しむための心理的な快適性をもたらします。
これらの要因が組み合わさり、天井の高い講堂では優れた音響効果が得られ、演奏会の魅力が引き立つのだそうです。
3月14日(木)には当院で恒例の院内演奏会「心あたたまるひびきのとき」(14時~15時 入場無料)が開かれます。通院中や入院中の患者さんだけでなく、ご家族も、地域のみなさまもご参加いただけます。
今回は、東京フィルハーモニー交響楽団の首席コントラバス奏者である片岡夢児さんとピアニストの五味田恵理子さんが来てくださいます。お二人とも超一流の音楽家。
曲目も、エルガーの「愛の挨拶」をはじめ、誰もが知っているポピュラーな曲が選ばれているようです。
奇跡の講堂で、どんな響きがするのか今から楽しみです。