括約筋間直腸切除術(ISR)で肛門を残す!

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括約筋間直腸切除術(ISR)で永久人工肛門を回避する

こんにちは。私は、大腸外科医として日々、患者さんの治療に携わっております。本日は、特に直腸がん治療で選択肢となる「括約筋間直腸切除術(略して、ISR)」についてお話しさせていただきます。この手術法は、可能な限り「永久人工肛門を回避」するために行われる高度な手術であり、直腸がん患者さんにとって生活の質を維持する新たな希望でもあります。

ISRとはどのような手術か?

括約筋間直腸切除術(ISR)は、肛門の機能を保つことを目的とした直腸がんの手術です。通常、直腸がんが肛門近くに発生した場合、がんを取り除くために肛門も一緒に切除し、永久人工肛門を作ることが一般的でした。しかし、ISRでは特殊な技術で括約筋を温存しつつがんを取り除くことで、永久的な人工肛門を回避できる場合があります。

患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2022年版
患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2022年版

当院の取り組み:ロボット支援手術によるサポート

当院では、患者さんの術後合併症を軽減し、治療効果を高めるために、手術支援ロボット(ダビンチ)を用いたロボット支援手術を導入しています。この最先端の手術支援システムにより、従来よりも正確かつ繊細な手術が可能になり、術中の操作精度が向上することで、周囲の組織をできるだけ温存しながらがんを取り除くことができます。これにより、術後の痛みの軽減や回復の早期化が期待され、患者さんの体にかかる負担を最小限に抑えています。

ISRを選択するメリット

1. 生活の質(QOL)の向上

人工肛門を持たずに通常の排便機能を維持することで、日常生活により近い形で社会生活を送ることが可能です。これにより、仕事や趣味、家庭生活にも前向きに取り組むことが期待できます。

2. 精神的な負担の軽減

人工肛門があることに対する心理的な負担やケアの負担を軽減できることは、患者さんの精神面にとっても大きな支えとなります。

どのような場合にISRが可能か

ISRを行うためには、いくつかの条件を満たす必要があります。たとえば、がんの大きさや位置、がん組織の性質、周囲組織への浸潤の有無、また患者さんの全身状態などが影響します。このため、詳しい診察と相談を通じて、ISRが適切かどうかを決めていきます。

手術のリスクと注意点

ISRはご自分の肛門を温存できるという大きなメリットがある一方で、術後の合併症リスクもあります。また、原則的に一時的な人工肛門を作成しております。術後の検査で、確実に肛門部が吻合されたことを確認してから人工肛門を閉鎖します。また、術後の排便機能に関する課題や肛門周囲の筋力の回復が必要な場合もあります。専門的な医療チームと一緒に、術後のリハビリテーションやフォローアップを丁寧に行うことで、良好な結果を目指していきます。

ISRで新たな一歩を

私たち医療チームは、一人ひとりの患者さんに寄り添い、最適な治療を提供できるよう努めています。ISRは、新たな選択肢として、多くの患者さんに未来の希望を与える手術法です。もし、ご興味がある場合や具体的なご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。 皆さまが笑顔で生活できるよう、サポートさせていただきます。

下部消化管外科部長 日吉雅也

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2003年に北海道大学医学部を卒業後、東京大学医学部附属病院で勤務を開始。その後、関東労災病院、東京都立墨東病院、茨城県立中央病院などでの勤務を経て、202...

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