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がん予防に検診を活用してみませんか(シリーズ2/6)「2. 科学的根拠をもとにした、がんの予防を考えてみましょう」

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日本で生涯に何らかのがんに罹患する人の割合は、今や2人に1人となっていると推計されています。がんは加齢に伴って発症しやすくなる、細胞の老化現象の一つとも言われていますが、生活習慣病としての側面も持っています。老化現象としてとらえると、がんにならない予防法は無いと言えますが、生活習慣病の一つと考えると、多少なりとも発症を押さえられる可能性がある、と考えることもできます。

そこで、がん予防検診について6回にわけて解説しています。今回は第2回を届けします。

2.科学的根拠をもとにした、がんの予防を考えてみましょう

CT

税金を投入して、ある年齢層の国民全体を対象として行われているがん検診については、毎年数回専門家が集まって必要性が話し合われています。そこでは、早期がんが見つかった場合に対処方法があって、それが死亡率を減らすことができるかどうか、税金を投入するメリットがあるかどうか、などを大規模な信頼できる研究をもとにして検討して、新たながん検診の形を決めていきます。

検診で行われないがん検査もたくさんありますが、そのがんにかかる人数が少なかったり、早期にがんが見つかっても対処が難しいなど、かけた費用に対するメリットが少ないので、税金では行っていないのです。でも、自分1人の体だけを考えた時、がん検診にはどれだけのメリットがあるのでしょうか。

たとえば、胸部ヘリカルCTについては、受けることに伴う被ばくというデメリットを減らした形で、自覚症状の無い1cm以下の肺がんなどの病変を見つけることができます。肺がんリスクの高い高齢者や喫煙者、血縁者に肺がん患者がいる方などにとっては、早期発見できればメリットがあることが、信頼できる大規模研究で示されています。一方で肺がんリスクの低い若い方や非喫煙者では、メリットが低いことも研究でわかっています。

PSA検査については、日本泌尿器科学会のガイドラインでは、日本人を対象として行われた研究を検討した結果、前立腺がんの家族歴がある場合40~45歳からの検診、ない方でも50歳以上での検診開始を勧めていますし、PSAの値が1.0ng/ml以下で3年ごと、1.1ng/ml以上で毎年の検診が推奨されています。また、何歳まで検査を受けるか、ということも検討されており、おおむね10~15歳の余命が想定される場合は、受診することを推奨しています。

これらの数字は違う研究を元にして作成された海外のガイドラインでは、違う値、違う年齢を示しています。

一方、国の指針として、前立腺がんは推奨対象ではなくなったため、一部の自治体では、前立腺がん健診は行われていません。50歳以上の方でのPSA検査については、メリットがあると言われているので、自治体で前立腺がん検診ができない地域にお住まいの方は、自費であってもがん検診等でPSAを検査してもらうことをお勧めします。

―続く―

健診部長 神原かおり

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